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若い頃、漫画が好きだった。
話題の娯楽作よりも、一生の宝になるような作品を、古本屋を巡回して探すような漫画読みだった。
ただ、芸術性の高い作品ばかり読み過ぎて食傷になったのか、ある時期以降、以前の１０分の１も漫画を読まなくなってしまった。

そんな折、知人からスマホの漫画アプリをいくつかおすすめしてもらった。
電車の中でよく見かけるアレだ。
そこには、娯楽作だからこその、既にある定型に一ひねり加える面白さや、様式の美しさ、そして何より子供の頃に味わったようなワクワク感があった。
おかげで通勤時間の愉しみができた。

個人的に最近一番気に入ったのは、鍋倉夫『路傍のフジイ』だ（ただ、これはたぶん娯楽作とは言わない…）。

http://bigcomics.jp/episodes/aa4000ef5d6c4

一見さえないサラリーマンのフジイが主人公の漫画だが、SNS全盛の現代に、自分の幸せは自分で決めるもの、という力強いメッセージが伝わって来る。
思わず、自分も同じことを思ってた！とフジイと仲良くなれたような気持ちになる。

漫画っていいなあと、改めて思っている。